シアーシャ・ローナン、七変化の演技で“自分を取り戻す” ── ノラ・フィングシャイト監督最新作『おくびょう鳥が歌うほうへ』

大都会からオークニー諸島へ。再生への旅が始まる

『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などで知られる実力派俳優シアーシャ・ローナンが主演とプロデュースを務める最新作『おくびょう鳥が歌うほうへ』が、2026年1月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開される。監督はベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作『システム・クラッシャー』のノラ・フィングシャイト。現代社会の孤独と再生を描く注目作である。

ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナ(ローナン)は、10年ぶりにスコットランド北部・オークニー諸島の故郷へ戻る。かつて都市の喧騒の中で自らを見失い、アルコールに依存していた彼女は、治療施設でのリハビリを経て断酒生活を始める。再出発の地として選んだのは、野鳥保護団体でのフィールドワーク。ウズラクイナ(おくびょう鳥)の声を探しながら、孤独と自然の中で“自分を取り戻す”時間を過ごしていく ── 。

「いくつもの色で、私は私になっていく」

本作の原作は、エイミー・リプトロットによる英国ベストセラー回想録『THE OUTRUN』。都会での依存症と挫折を経て、自然と共に再生していく過程を描いた同作は、PEN/アッカリー賞、ウェインライト賞を受賞し、多くの読者の心を掴んだ。

映画では、スコットランドの冷たい海と風の中で揺れるロナの心情を、ローナンが繊細かつ大胆に表現。金髪、赤、青、黒……と髪の色を変えながら、生のグラデーションを演じ分ける姿はまさに“七変化”と呼ぶにふさわしい。

若手俳優・小川あんが日本版ナレーションを担当

日本版予告編では、俳優の小川あんがナレーションを担当。透明感のある声でロナの心の揺らぎを描き出している。小川は「制御できないものと共に生きる彼女の姿が、深く胸を打つ」とコメント。ローナンの神秘的な存在感と共鳴する語りが、映像に静かな詩情を与えている。

また、予告の冒頭に流れる主題歌は、UKロックの伝説的バンドTHE THEの名曲「This is the Day」。〈今日がその日さ。君の人生はきっと変わる〉という歌詞が、ロナの再生への一歩を象徴している。

『システム・クラッシャー』のチームが再集結

監督ノラ・フィングシャイトは、デビュー作『システム・クラッシャー』で社会の“見えない傷”を描き、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した俊英。本作では撮影のユヌス・ロイ・イメール、編集のシュテファン・ベヒンガーら前作スタッフと再びタッグを組み、内面の混濁と自然の脈動を美しく映し出す。

本作は英国インディペンデント映画賞(BIFA)で9部門、英国アカデミー賞(BAFTA)で2部門にノミネートされ、各国の映画祭でも絶賛された。ローナンは本作でアイルランド映画テレビアカデミー賞主演女優賞、ロンドン映画批評家協会賞を受賞している。

「自然界隈」へようこそ

荒れ狂う海、絶え間なく吹きつける風、鳥の声、静寂の中で立ち上がる人間の呼吸。『おくびょう鳥が歌うほうへ』は、自然と人とのあいだにある“制御できないもの”と共に生きる勇気を描いた物語である。

“#自然界隈”という新たなタグラインのもと、映画は静かに、しかし力強く観る者の心に問いかける。
「わたしは、どこからやり直せるのか」と。

『おくびょう鳥が歌うほうへ』
2026年1月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
監督:ノラ・フィングシャイト
主演・プロデュース:シアーシャ・ローナン
ナレーション:小川あん
原作:エイミー・リプトロット『THE OUTRUN』
公式サイト:www.outrun2026.com
公式X:@okubyoudori01

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