70年の時を越えて、夢はふたたび風に乗る──アルベール・ラモリス、映像詩の奇跡が4Kで甦る

永遠の詩情、『赤い風船』『白い馬』が4Kで再びスクリーンへ

アカデミー賞®脚本賞、カンヌ国際映画祭短編パルム・ドール賞など数々の栄誉に輝いた不朽の名作『赤い風船』『白い馬』が、4Kデジタル修復版としてスクリーンに帰ってくる。映像詩人アルベール・ラモリスが生み出した夢と希望の世界が、70年の時を経てかつてない鮮明さで甦るのだ。11月14日よりシネマート新宿ほか全国順次公開される本企画では、これらの名作に加え、日本初公開となる『小さなロバ、ビム』『素晴らしい風船旅行』『フィフィ大空をゆく』を含む全5作品が上映される。さらに、全作品を象徴する新たなオルタナティブポスターと、入門者に向けた“はじめてのラモリス・ガイド”も公開された。

色と詩、そして愛──ラモリスが描いた「人間と自由」

アルベール・ラモリス(1922–1970)は、少年と動物、あるいは風船や風といった“自由の象徴”を通して、世界の美しさと儚さを描き続けた映像詩人である。『赤い風船』では言葉を超えて少年と風船の心が通い合い、『白い馬』では少年と野生馬の魂の共鳴が描かれる。どの作品にも、現実と夢の狭間に漂う“希望”が息づいている。
ラモリスの詩的映像世界は、アンドレイ・タルコフスキー、ホウ・シャオシェン、ウェス・アンダーソン、デイミアン・チャゼルといった巨匠たちにも影響を与えた。今回の4K修復では、息子パスカル・ラモリスが監修を担当。父の意図を忠実に再現すべく、当時のフィルムの質感に可能な限り近づけた。

日本初公開となる3作品、その魅力

『小さなロバ、ビム』は、少年とロバの友情をチュニジアの風土の中に描く初期劇映画。詩人ジャック・プレヴェールがナレーターを務め、オリエンタルな叙情が漂う。
『素晴らしい風船旅行』は、祖父と孫が気球で空を旅する長編冒険作。空撮技術「ヘリヴィジョン」を駆使し、黒澤明をも魅了した空の映像美が圧巻である。
『フィフィ大空をゆく』は、サーカスを舞台に“人が空を飛ぶ”という夢をコミカルかつ詩的に描いた意欲作。ジャック・タチやピエール・エテックスに通じるユーモアが光る。

5つの色でよみがえる、オルタナティブポスターと“初めてのラモリス・ガイド”

今回解禁されたオルタナティブポスターは、それぞれの作品の世界を象徴する色彩と構図で再構築されたアートワークとなっている。新たに公開された“初めてのラモリス・ガイド”では、映画やアートに造詣の深いライター小柳帝がナビゲーターを務め、作品ごとの見どころや背景を丁寧に紹介。ラモリス作品の入門編として最適な内容となっている。

ラモリスの風は、いまも吹いている

48歳という若さでこの世を去ったラモリスだが、彼の映画は今も世界中で息づき続けている。愛と自由への賛歌、夢を信じる心、そして映像そのものが持つ詩的な力──それらは70年を経た今も色褪せることなく、私たちに「生きることの歓び」を静かに思い出させてくれる。
風船が風に乗るように、少年が馬と駆けるように。ラモリスの映像詩は、再びスクリーンの中で、観る者の心に風を吹かせるだろう。

『赤い風船 4K』『白い馬 4K』ほか全5作品
11月14日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
公式サイト:www.akaifuusen4k.com
公式X:@Akaifuusen4K

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!