
現代アンビエントの最前線が東京と大阪に降り立つ
エレクトロニック・ミュージックの現在を更新し続けるロレイン・ジェイムスが、アンビエント志向のプロジェクト“Whatever The Weather”名義で日本ツアーを開催する。ツアーは最新作『Whatever The Weather II』(Ghostly International)リリースを記念して行われるもので、11月28日に東京・CIRCUS Tokyo、翌29日に大阪・CIRCUS Osakaでそれぞれ開催される。
東京公演にはyahyelのメンバーであり、ソロでも注目を集める篠田ミルがライブセットで出演。大阪公演には、ロレインがかねてよりリスペクトを寄せるAOKI takamasaがDJとして共演する。

ロレイン・ジェイムスが築く「もうひとつの気象」
ロレイン・ジェイムスはロンドン北部出身。メタルからカリプソまで幅広い音楽に親しんだ家庭環境の中で育ち、10代で独学の音楽制作を始めた。スクエアプッシャーやテレフォン・テル・アヴィヴらから影響を受け、ジャズやマスロック、R&Bをも織り交ぜた緻密なサウンドデザインで知られる。Hyperdubからの代表作『For You and I』(2019)は世界的評価を獲得し、以降も『Reflection』(2021)やジュリアス・イーストマン作品の再構築『Building Something Beautiful For Me』(2022)など、常に深化を続けてきた。
その並行名義として始動したのが“Whatever The Weather”である。ビートを削ぎ落とし、音の質感と気配に焦点を当てたこのプロジェクトは、2022年のセルフタイトル作で鮮烈な印象を残した。各曲に「温度(摂氏)」を冠したそのアルバムは、音が気象のように変化するコンセプチュアルな作品として高い評価を受けた。
『Whatever The Weather II』が描く、音と空気の連続体
2025年3月にリリースされた最新作『Whatever The Weather II』は、前作の世界観を継承しつつ、より豊かな音響のレイヤーと即興性を取り入れた作品である。鍵盤のタッチや微細な電子音が交錯し、まるで“気圧のゆらぎ”のように感情が浮き沈みする。クラブ・ミュージックとしての機能性よりも、音が持つ“気象的な情動”を描くことに主眼を置き、現代アンビエント/IDMの進化形を提示している。
共演者が示す、音の現在地
東京公演に登場する篠田ミルは、yahyelの活動をはじめ、映像音楽やサウンドインスタレーションまで手がける気鋭の音楽家。自身のソロEP『Pressure Field』でも、電子音と静謐な空間性の融合を追求しており、Whatever The Weatherの世界と共鳴するステージが期待される。
一方、大阪公演に出演するAOKI takamasaは、2000年代初頭から国際的に活動してきた日本エレクトロニック・ミュージック界の重要人物。ミニマルと抽象性を往還する独自の音像で、ロレイン・ジェイムスの音世界に呼応する夜を作り上げるだろう。

“音が気候になる”──その瞬間を目撃せよ
Whatever The Weather Japan Tour 2025は、クラブでもフェスでもない、音と感情の気象観測のような体験になるはずだ。アンビエントとエレクトロニカ、即興と構築が交差する中で、ロレイン・ジェイムスは「音が空気を変える瞬間」を描き出す。
音楽が“天候”のように心を支配する──その予報は、11月の夜に確かに訪れる。

Whatever The Weather Japan Tour 2025
- 東京公演:11月28日(金)@CIRCUS Tokyo
出演:Whatever The Weather(Live)/篠田ミル(Live)
チケット情報 - 大阪公演:11月29日(土)@CIRCUS Osaka
出演:Loraine James(Live)/AOKI takamasa(DJ)
チケット情報
主催・企画制作:CIRCUS / PLANCHA
