M. Sage、新作『Tender / Wading』よりラスト先行シングル「Witch Grass」を公開

米コロラド出身の音楽家M. Sageが、9月26日にRVNG Intl.よりリリースするニュー・アルバム『Tender / Wading』から、最後の先行シングル「Witch Grass」を公開した。本楽曲はアルバム連動の映像三部作の最終章となるMVと共に発表されている。

「Witch Grass」は、故郷コロラドに自生する強靭な植物にちなんで名付けられた1曲である。ギターを基調に、リズミカルで遊び心に満ちたフレーズが展開。Sageはこの植物を「自然主義の神話における象徴 ― 保護、癒し、そして回復力」と語っている。MVでは、小さな素材から「深い時間」を見つめる試みとして、人間と風景の境界を描き出している。

故郷コロラドに根ざしたアルバム『Tender / Wading』

新作『Tender / Wading』は、シカゴでの約10年の生活を経て故郷へ戻ったSageが、山麓や牧草地で作曲・録音を行った作品である。ピアノとクラリネットを中心に、ギター、モジュラー・シンセサイザー、パーカッション、そして自宅周辺で収録したフィールドレコーディングを重ね合わせたサウンドは、自然に根ざした生命力と静謐さを兼ね備えている。

過去作『Paradise Crick』が魔法的なリアリズムやデジタル的幻想を描いたのに対し、本作はよりパーソナルで直接的な体験から生み出された。牧歌的なフォーク、瞑想的なエレクトロ・アコースティック、即興性のあるアンビエント・ジャズの要素が交錯し、郷土と個人の記憶が響き合う作品となっている。

Sage自身は「僕はただ、草むしりをしながらヘッドフォンで聴きたい音楽を作っているだけなんだ」と語り、過度にコンセプチュアルな枠組みを否定する。それでも本作には、自然と人間の関係性を問う鋭さと、根底に流れる楽観と希望が刻まれている。

アーティストとしての歩み

M. Sageことマシュー・セージは、実験的なアンビエント〜エクスペリメンタル・ミュージックの領域で独自の地位を築いてきたアーティストである。2010年代初頭からGeographic NorthやOrange Milkなどのレーベルで作品を発表し、近年は即興アンビエント・ジャズ・カルテットFuubutsushi(風物詩)の一員としても活動。2023年にRVNG Intl.からリリースした『Paradise Crick』は大きな注目を集めた。

リリース情報

M. Sage『Tender / Wading』

  • Label: PLANCHA / RVNG Intl.
  • Format: CD / Digital
  • Release Date: 2025年9月26日
  • Price: 2,200円 + tax
  • 日本盤のみボーナストラック3曲収録、解説付き

先行シングル「Witch Grass」

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