
5月7日(水)より日本全国で劇場公開される映画『ビョーク:コーニュコピア』。先日発表されたTOHOシネマズ 日比谷ほかでの上映に加え、横浜・名古屋・神戸の劇場でも特別上映が決定した。世界25カ国・約500館での上映という壮大なスケールの中で、日本国内でもこのアヴァンギャルドな映像体験を味わえる希少な機会が広がっている。
本作は、アイスランドが生んだ革新的アーティスト、ビョークが5年にわたって展開したコーニュコピア・ツアーの中から、2023年リスボン・アルティス・アリーナでの公演を映像化したものである。監督はイーソルド・ウッガドッティルが務め、視覚的かつ音響的な没入感を極限まで追求したステージをスクリーンへと落とし込んだ。映画館の暗闇の中、観客はビョークが築く幻想的なユートピアに全身で浸ることになる。
「映画館こそが、このアートにふさわしいステージ」
『フォローラ』(2022年)、『ユートピア』(2017年)、『ヴァルニキュラ』(2015年)といった近年のアルバムからの楽曲が、壮麗なステージセットと緻密なマルチメディア演出によって展開される本作。そのすべての歌詞は、ビョーク自身の手による英語の筆記体でスクリーン上に浮かび上がる。まさに「ビョーク史上最も壮大」と称されるコーニュコピアの世界観が、映画という形態で再構築されている。
映像表現においても最先端を行くビョークらしく、ステージ演出を手がけたのはアンドリュー・トーマス・ホァンやトビアス・グレムラーら気鋭のアーティスト陣。映像と音、アニメーションと肉体、そして自然とテクノロジーが一体となったパフォーマンスは、現代における総合芸術の極みである。
超限定の“1日”上映 ── その場に立ち会う意味
東京と大阪では5月11日(日)までの複数日上映が行われるが、それ以外の都市では5月7日(水)のみという、非常に限定的なスケジュールでの上映となる。今回、新たに追加されたのは、横浜(ムービル)、名古屋(109シネマズ名古屋)、神戸(109シネマズHAT神戸)の3都市。各地から寄せられていた「なぜ私たちの街で上映がないのか?」という声に応えるかたちで、上映館が拡大された。
上映時間は約1時間39分。さらに、ビョーク自身がキュレーションを手がけた3本のミュージックビデオが特別に併映される。料金は一律3,300円。決して安くはないが、その芸術的クオリティと映像体験を思えば、まさに“アートのための対価”といえるだろう。
メディア各誌が絶賛 ──「最も大胆なビョークがここに」
『ニューヨーク・マガジン』は「この街のステージに上がった中で最も信じがたい光と音のショー」と称賛し、『インディペンデント』は「没入的で陶酔感のある映像体験」と評する。『ガーディアン』は「ユートピアの壮大なビジョン」、『NME』は「観客に媚びない、大胆不敵なスペクタクル」と伝えている。いずれのレビューも、その内容がただのコンサートフィルムではなく、21世紀の“視覚詩”であることを物語っている。
「終末後の希望」を描く、未来へのビジョン
環境危機への問いかけや未来への願いといったテーマも、ビョークらしい繊細さと挑戦精神で織り込まれている。舞台に投影されるアニメーション、深くエモーショナルな歌声、そして自然と共鳴するかのような音響デザイン──それらはすべて、「終末後の希望」という詩的なビジョンへとつながっていく。
この映画は、ビョークを知っている人だけのものではない。彼女のアートが放つ“呼吸するような創造性”は、観客の感覚にじかに触れ、未知なる扉を開く鍵となるだろう。

『ビョーク:コーニュコピア』上映概要
上映日: 2025年5月7日(水)より
※東京・大阪は~5月11日(日)まで/その他都市は5月7日(水)のみ
鑑賞料金: 一律 3,300円(税込)
上映時間: 本編99分+MV特別上映(3本)
公式サイト: https://www.culture-ville.jp/bjork
上映劇場一覧(抜粋):
東京:TOHOシネマズ 日比谷/日本橋/新宿
神奈川:ムービル(横浜)
愛知:109シネマズ名古屋
大阪:TOHOシネマズ 梅田
兵庫:109シネマズHAT神戸
そのほか全国の主要都市でも同日上映予定
文化の最前線を走り続けるビョーク。その芸術の極致に触れるこの機会を、ぜひスクリーンで目撃してほしい。
